神津 善之介 公式サイト

2010年6月


絵描きに成ろうなんて者のほとんどは心や頭の成長が幼少期で止まってしまったような人間だろうと僕は考えている。
興味を持っている事しかできない。
だから絵が楽しければ、ずーっと絵ばかりを描いているが、別のものに興味の矛先が向くとすぐそっちに没頭してしまう。
大体、そんな性質の者らが絵描きになる。

昨年はワールド ベースボール クラシックをテレビ観戦しすぎて絵の制作に支障をきたした。
それで、37歳にもなって、さんざん周りの皆に叱られたのに、今年はワールド カップが面白すぎて全く絵が進まない。
今秋の展覧会の予定は昨年以上に一杯詰まっているのに、全く絵が仕上がらない。
7月11日までは絵が手につかないだろう。
それもこれも全てワールドカップのせいだ。

突然話しは変わるが、スペイン人は何か問題が起きるとすぐ人のせいにする。
悪い事は他人のせい。良い事は自分のおかげ。
とても楽観的というのか、ご都合主義というのか、なによりストレスの少ない社会である。

その「人のせいにするスペイン人」とはどんなものかを例えて言うと、今がまさにそうで、僕は散髪屋の待ち合いのソファで2時間も待たされ続けながらこのコラムを書いている。
待たされ続けている理由が、「だって今日はお客が多いのだもの」である。
おしゃべりばかりしている美容師は自分のことを棚に上げて僕や他のお客の皆が悪いと言っているのだ。
スペインに住んでいると度々軽い脳震盪を起こす。

とは言え、EU加入後のここ10年くらいで、北ヨーロッパの国々の考え方が少しずつ浸透してきてスペイン人のものの考え方も変わってきたかも知れない。
でも未だにこの国の人々は気楽そうに見える。
ただ、そこが僕がこの国を好きになった理由の一つだし、スペイン人から面白い絵が生まれる理由の一つでもある。

だから僕はそんなスペイン人を見習って、絵の制作の遅れをワールド カップのせいにしようと思っているのだが、どうやらFIFAは僕の代わりに謝ってくれないらしい。
もしかしたらスペイン人とイタリア人くらいは同情してくれるかも知れない。あ、イタリアは予選で敗退したからもう同情してくれないかな?

さて、今年の秋は10月に自分の個展が銀座であり、11月にはスペイン人らとのグループ展を東京、愛媛、京都で開催する。
またそのスペイン人が来日する際に今までやった事のない、初めてのイベントを企画している。

まだ細かい事は決まっていないのだが、スペイン人と一緒に公園などで風景スケッチの講習会を開こうと思っている。
僕は今からそれがとても楽しみなのだが、少しの不安材料もある。
何が不安かと言えば、先ほど書いたような性格のスペイン人達と一緒ということだ。
そのうえ南米人もいる。ラテン人が全部で4人だ。今まで日本に呼んだ倍の人数である。
スペインに18年住んでても全くスペイン人の気質に成れない僕が、4匹の猛獣を連れて無事に展覧会と講習会を仕切れるのだろうか?

きっとこの企画の成功には、展覧会や講習会に来て下さる方々の多大な愛情や努力が必要になってくるだろう。
来て下さる方々には是非とも我々日本人の持っている素晴らしい「思いやり」や「情け」の心、そしてラテン人の様な「大らかさ」や「いい加減さ」を持ってお越し戴きたいものだ。
そうすればこの企画はきっと上手くいくと僕は信じている。
どうぞ宜しくお願い致します。

ただし、もし何か皆様に失礼が及ぶ事態が起きたならば、きっとそれはスペイン人のせいであり、
もし、この企画が大成功したならば、それは全て僕のおかげでありましょう。

嗚呼
いくらスペイン人の気質を吸収しようとスペインに住み続けても、
僕はまだまだ日本人としての「謙虚さ」や「慎ましさ」を捨てきれず、こっちの人々が持つ「図々しさ」が身に付かないようだ...。

 

神津善之介

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