神津 善之介 公式サイト

2010年3月


都会で生まれ育った僕だが、どうも都会は居心地が悪い。

根が田舎者なのか、もしくは都会というものがアレルギー物質のように身体に蓄積されつづけ、ある程度のキャパシティーを超えた瞬間から、堪え難いもの変わってしまったのか。
とにかく、渋谷の交差点なんかを歩くとクラクラする。

とは言え、旅ならば良いが、住むとなると本当の辺境地ではちょっと住み辛い。
そんな訳で、今の住まいはヨーロッパの田舎(ほぼアフリカ)のスペインなのだ。

では、ヨーロッパの中でどこが都会か?というと、僕のイメージではロンドン、フランクフルト、パリなどがあがる。
広辞苑で引くと「都会」は「人口が密集し、商工業が発達して多くの文化施設がある繁華な土地」とある。
神津苑の場合「永遠のように建物が続く面積の広さや人口も勿論だが、そこを歩く人々の意識や雰囲気でも都会かそうじゃないかが決まる」ように思える。

多分世界全体で見ても、東京は都会だ。
空から見ても、東京の馬鹿でかさには、本当に驚かされる。

ヨーロッパの都市は東京と比べると都市部の面積が狭い。
ロンドンでもパリでも、本気で歩こうと思えば、中心部は歩いて廻ることができる。
ならば東京の方が都会的かというとそうでもない。
例えばパリを歩く人の感じは、渋谷の若者よりも全然国際的な感じがする。

で、話しは突然変わるが、僕は先月フランスに行って来た。
ほとんどの時間をノルマディー地方のシェルブールで過ごし、帰りに少しの時間だけモン サン ミッシェルとパリに寄ってきた。

フランスの田舎はスペインとも似ていて、のどかで、そして風景の中にちゃんと秩序があって僕はやはり落ち着く。

モン サン ミッシェルは卒業旅行のシーズンだったからか、日本人だらけだった。
多分、京都の清水寺の方が外国人の数が多いだろうというくらい、日本人しか見なかった。
現地の人曰く、「世界遺産という響きが好きなのは日本人くらいですよ」と言っていた。

 

「やはり美しい日の出直後のモン サン ミッシェル」 「やはり美しい日の出直後のモン サン ミッシェル」

 

その後、パリに寄ったのだが、僕は改めて思った。
どうもパリ人が好きじゃない。

昔、友人から聞いたのだが、何代か前のパリ市長が何かの演説の時に
「パリは素晴らしい街です。・・・フランス人が居なければね。」と言ったらしい。
その気持ちが僕には実に良く分かる。

パリの街は美しい。センスもものすごく良いと思う。
けれど、どうもパリに住むフランス人ってものたちが気に食わない。

じゃぁ何が気に食わないのか?というと、彼等はものすごい都会人なのだ。しかも気難しい。

例えば、同じラテン民族でも、スペイン人やイタリア人なんかは都会に住んでいても、国際的な考えを持った人であっても根が田舎者である。
そこが僕の様な者にはホッと安心できるところなのだ。
同じラテン人の中だったら、僕はまるで暗い詩人の様な気難しい顔をしたフランス人よりも、「まぁ明日やりまひょ!」って感じのちゃらんぽらんなスペイン人の方が性に合う。

どうもパリのフランス人は気安く話しかけ辛い雰囲気をプンプンと漂わせているのだ。
お洒落で美人だけど性格の悪い女の人みたいな感じだ。

で、結局何を言いたいのかと言うと、パリは都会で、僕は都会が苦手だということだ。

ただ不思議なことに、その都会であるパリの画廊に飾ってある絵のほとんどは、いま世界的に流行しているコンテンポラリーアートではない。
イギリスやドイツと比べても、パリの現代美術館で今の先端をいっているアート作品の企画展を開催しているところは少ない。
多分コンテンポラリーアートの市場として、パリは随分と遅れている。

都会なのに絵は遅れている。不思議だ。
なぜだろう?
いや、遅れているのか? それとも、今の流行には乗りたくないということなのか?
もしかしたら、今流行のアートというものを「?」という目線で静観しているのかも知れない。

ついでに言うと、これが良いことなのか悪いことなのかは分からないが、僕の絵の評判はヨーロッパの他国の画商よりもパリの画商に受けが良い。

これはどういう意味なのだろうか? 僕の絵も時代に乗り遅れているということなのだろうか?

考えだすと気が重くなるので、スペイン人に習って明日考えることにする。

 

ポンピドゥーセンターからの眺め
ポンヌフからの夜景 「何だかんだ言ってもパリは美しい。ポンピドゥーセンターからの眺めとポンヌフからの夜景」

終わり。

 

 

神津善之介

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