神津 善之介 公式サイト

2009年12月


今年もあっという間に年末になってしまった。
あと2年弱このスペインに住むと僕の人生の半分がスペインに居たことになる。
実際に振り返ってみると自分の思い出のほとんどがスペインに住んでからの出来事で、スペインに住み始める前の記憶があまりない。

よく冗談半分で「スペインに来てから物心がついた」と言っているが、それもあながち冗談ではなく、それほどこのスペインと言う国が僕に与えてくれた影響が色濃かったのだろうと思う。
そう考えると、今まで人から注意される自分の悪いところは全てスペインのせいにしてきたが、スペインに対して申し訳ないので、それはやめなければいけない。

スペインに住んで最初の5、6年ほどは全てが刺激的で、日本で平和ボケした僕の脳みそに深い思い出を沢山刻んでくれた。
それから僕は幸運にも少しずつだが絵で飯を食べられる様になってきた。
けれどその分、ほとんどの時間をアトリエで過ごす様になり、初めて会うスペイン人との交流も初めて訪れる土地への旅行も随分と減ってしまった。
イーゼルの前に座りっぱなしで、基本的に引きこもりになり、最近では便利になったインターネットや本での情報が増え、その代わり実際に自分で得た生の情報と言うものが少なくなっている様な恐怖感を感じる。

自分が後何年スペイン、もしくはヨーロッパに住むのかは分からないが、せっかくスペインに住んでいるのだし、 今は昔と違って格安航空券が割と手に入りやすいのだから、ここに住んでいるうちになるだけこのスペインという不思議の国やヨーロッパを、もっともっと見て やろうと思う。
少しでも使えるお金があったら旅に使おうと思う。

...なぁーんて、偉そうに書いてみたのだが、いきなり壁にぶつかった。
先月ピレネーに行ってしまったので、今月はもうお金がない。

まぁまぁまぁ、もともと引きこもりですし、家大好きっ子ですから、気張らず、旅行は来月からにしましょうかね?
と自分を宥めていたら、いつもはケチな嫁さんが(何所にあったのか)なけなしの貯金をはたいて、クリスマスが大好きな僕に2泊3日のドイツ、ドレスデンの クリスマスマーケットへの旅行をプレゼントしてくれた。なんと気が利くおたプレなのだ。

と言う事で行って来ましたドデスカデン、いや、ドレスデン。
絵描きの生活の特権はスケジュール合わせがわりと自由なところだ。
格安旅行にするための日程条件があれば、一番安くなる時期に自分のスケジュールを合わせて旅行をすることが出来る。
まぁあんまり「安い安い」と書くと嫁に悪いのでドレスデンの話に戻す。


よく自分のコラムに書いているが、僕はクリスマスが大好きだ。
日本の様な商業のためのクリスマスではなく、本来のキリスト教国であるスペインは僕にとっては最高に楽しい国だ。
そして今回訪れたドイツのクリスマスもまたなんとも素晴らしかった。

ドレスデンはドイツで一番古いクリスマスマーケットの歴史を持つ。
僕が思うに、プロテスタントの割合が多いドイツ、ドレスデンのクリスマスは、カトリックの派手で豪華なクリスマスよりも、シンプルだがすごくセンスが良く、それでいて庶民的な感じだ。

なおかつ電力をかなり食うであろう広告や電飾などで飾られるスペインのクリスマスとは違って、ここはろうそくや再利用可能な物資を使って、エコロジーを意識したクリスマスだった。
昔の仮装をして、廃材などで昔の掘建て小屋の出店を作り、そこで焼くソーセージも炭で焼いて、手彫りのへんてこで可愛いサンタなどの飾り付けをして、極力電気を使わず、でも質素ではなく自然な感じで楽しんでいる。
僕にはそんな風に見えた。


クリスマスとは毎年訪れるものだが、その意味をよく考えてみればキリストや自分たちの祖先などの誕生を祝い、家族や自分のそばに居てくれる人への愛や感謝を再確認する日である。
だから、どちらかと言えば前を向く日ではなく、振り返る日だと思う。
何所の国でも同じようにクリスマスに乗じての商業が絡んでいたとしても、ここドレスデンみたいにロウソクや松明を多用して昔を振り返るクリスマスを演出すると言うのは凄く素敵だ。そのうえ実は前向きでもあると思う。


これがエコ先進国ゲルマンと後進国ラテンの違いなのかなぁと思った。
勿論、街が派手に飾られるスペインのクリスマスも感動する。
でも最近は派手にすることよりも無理に大げさにはせず、あるものでひっそりと楽しむ手作りっぽいクリスマスに僕は感動する。

クリスマスというテーマだけ見ても、同じキリスト教徒の歴史を持つ街なのに街ごとによって随分と風景が違う。そこがこのヨーロッパのとても面白いところだ。

僕がヨーロッパの中で知っているクリスマスの風景はマドリード、マヨルカ、バルセロナ、ロンドン、パリ、ベニス、そしてここドレスデン。
今まで、大して(と言うかまだ1枚しか)描いた事が無いが、いつの日かクリスマスのテーマだけで個展が出来たら面白いだろうと思う。


クリスマスに限らず、このヨーロッパの中には、まだまだ見た事無い景色が山ほどある。
と言うよりも知っている風景はほんの一握りしかない。
これからどれくらいチャンスがあるか分からないが、見た事の無い景色をもっと見たい。
知らない街を歩いて、食べた事無いものを食べ(お腹が弱いのですぐ下痢するが)、初めて会う人と話し、自分の頭の中にいろんな刺激や感情を増やしていきたい。
とは言え、旅をしてもこんなくだらない文章程度しか書けないのだが...。
ただ僕の場合、こんな文章より少しはまともな絵が生まれるかも知れない。

まったく自分勝手な言い分になってしまうが、元来の筆無精のため、皆様へのご挨拶の手紙一つ書けない僕が、旅した風景を心を込めて楽しんで描いたならば、それがお世話になった方々への「僕は元気でやってます」という便りの代わりになるかも知れない。

年の最後に一言
こんな大変な今の世の中で、独り善がりな絵の理想論ばかりを言う僕を、いつも見守っていて下さる皆様に心よりの御礼を申し上げます。
本当にありがとうございます。

来年また、皆様にお会いするその日を楽しみに、絵に励みます。

皆様にとりまして、来年がより良い元気な年になりますよう、心よりお祈り致しております。

FELIZ NAVIDAD Y PROSPERO AÑO NUEVO !!!!!!!

神津善之介 マドリードより

 

神津善之介

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