神津 善之介 公式サイト

2009年10月


個展前、僕は寝ない。
「寝ないって言ってもご飯の後ソファーで鼾かいてるじゃん!」
と嫁は野暮な事を言うが、誠に僕はほとんど寝ない。
「えー、30後半のおっさんのくせにお昼寝とかしてるの知ってるよ!」
とこの嫁はまだしつこく僕の態度にケチをつけるが、実に僕はちょっとしか寝ない。
「でもたまにヨダレ垂らして、白目でキャンバス見てるじゃん!」
と真に性格の悪い嫁は嘯くが、本当のところ僕は3、4時間しか寝ない。

個展前は気が立っているというか、興奮しているのだ。
だから寝られない。
また、アトリエではほぼ24時間音が鳴っているので、一緒に住む人には迷惑をかけている。
たまに個展会場で、人から「穏やかな絵ですね。きっとお人柄が出ているのでしょうね。」と言って頂くことがあるが、個展1週間前くらいの僕を見たら、きっとそんな事は言ってもらえないだろうと思う。
ただでさえ細くつり上がった目がより斜めにつり上がるのだ。

とは言え、それは個展前の話で、個展が終わると、僕は寝る。もの凄く寝る。
涅槃像と間違われて、タイの僧侶にお供え物をされそうになるくらい寝る。

そして起きたら1、2週間、しばらくボォーっとする。
蝿もはらえないくらいボォーっとする。
熱々の鍋を頭に置かれても気が付かないくらいボォーっとする。

だいたいそんなリズムで1年を過ごしている。

ただ、今回は帰って来てから、あんまり寝ても、ボーっとしても居ない。
なんと、もう絵を描くモードになっているのだ。
なぜなら、サン セバスチャンの画廊に絵を預ける事になっていた事も、来年ガリシアの画廊で個展のお願いをされている事も、まぁーったく忘れていたからだ。
来年、僕がずっと希望していた博多で5月に個展を開かせてもらう。
そして10月には松屋銀座でも個展を開く。
そのうえ11月には久しぶりにスペイン人を交えてグループ展「MADE IN SPAIN」を開く。
日本の個展の話で舞い上がっていたら、スペインの予定をおもいっきり忘れていた。

来年はなんとも忙しい年になりそうだ。
もの凄く頑張らなければいけないのだが、実は今回はもう描きたい絵の青写真が薄らとだが浮かんでいるのだ。
いつも個展後3、4ヶ月はしばらく試行錯誤を繰り返し、実験期間みたいな時間を過ごすのだが、今回は割と早く本作に入れそうな気がしている。

ただ来年末迄、なかなかの長期戦なので、いつまた絵が描けなくなるか分からない。
そんな時、やる気が落ちた時に、単純な僕が割と早く立ち直る方法は、大自然を直に見る、素晴らしい過去の巨匠の絵を見る、お気に入りの映画を見る、この3つである。
視覚が重要な僕は圧倒的に素晴らしいものを見ると、純粋に謙虚に感動して、また絵を頑張ろうと言う気持ちになる。
そんな僕の最近感動したものはマイケルジャクソンのドキュメント映画「THIS IS IT」だ。
これにはまいった。ただただ、もの凄く、最高にカッコ良いのだ。
今の世の中にはもう居ないかもしれない本当のポップスターがスクリーンの中に圧倒的な存在感で立っていて、またそのオーディションを受けて勝ち残ったダンサー達も本当にカッコ良い。
しかもそのダンサー達は既にもの凄い人たちなのに、彼らがマイケルを見ると子供のように喜び、はしゃぐのがまた感動する。
アメリカのスターの周りは、なんだかお金の匂いがして嫌だなぁーと、ついひねた目で見てしまう僕だが、そんな考えを吹き飛ばしてしまうくらい、マイケルはカッコ良く、可愛い。
ただのコンサートのリハーサル映像のドキュメントで、決して感動ものでも悲しい話でもないのに、なんだか泣きそうになる。本当のポップスがこれで終わるのかなぁーとしみじみ思ってしまった。
凄く気に入ったので、しばらくはこの映画が僕の元気薬になるだろう。

さてさて、まずはサン セバスチャンに送る絵を仕上げないと。
そして絵が終わったら、ピレネーに山ごもりに出かけよう。

17年前にスペインに住み始め、マヨルカ島でまだ友達もいなくて片言のスペイン語をつかい絵の勉強をしていた 時、軽いホームシックにかかった事がある。ちょうどその時に偶然訪れたピレネーの麓のRUPITという村で見た紅葉がとても美しく、一人感動し、ボーッと 何時間も突っ立て眺めていたことを覚えている。
今もまたピレネーの山はきっと紅葉が美しい季節だろう。日本の紅葉のように真っ赤にはならないのだが黄色からオレンジへのグラデーションが綺麗だろう。早くしないとそろそろ雪が降りはじめてしまう。
勿論、絵のモチーフを探すためだ。美味いキノコや、旬の時期に入った長ネギのカルソーッツを食べにいく訳ではない。

絵もそこそこで、「山よ、やぁまよぉー」と地図帳をひろげて歌う僕に向かって嫁は「また現実逃避ですか?」と嫌やなことを言うが、嫁は分かっていない。
山よりもwiiよりも、僕にとって「絵を描く事自体」が何よりもの現実逃避であるということを!!!

さぁ来年、また皆様にお会い出来るその日迄、山ごもりにアトリエごもりで、絵を描きます。
どうぞ宜しくお願い致します。
ではでは!!!

神津善之介

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