あの人と見た桜
50×50cm
転写シリーズの新しい試みでやったものです。
同じ事をくり返していると絵が濁るので、やってみたい事はまず、やってみる。
そうすると自分の中になにか答えが生まれる。そしたら、また同じ絵に戻っても新しい気持ちで向かい合える。この絵には何か新しいものが生まれるために必要なモノが隠されているように感じました。それが何かということはもう少し先にならないと分らなそうですが...。
いつも自分が描いたものの方が僕の頭の中よりも少し先
を行っているみたいです。
Less is More (FLOWER2007.no2)
145×145cm
2008年8月新作
Less Is More 2008:Flower no.1
146x146cm
桜(侘寂)
50×50cm
2008年9月のパリ個展に向けて描いた作品です。
パリでの発表なので、何か日本人というモノを絵の中に出したくて描いた作品です。
日本人だから桜、と言うのも少し簡単な考えだと思われてしまうかも知れませんが、僕は歳をとり、桜が好きになりました。
そしてあの薄いピンク色はヨーロッパ人では描けない色だと思うから、敢えて発表することにしました。
また、コスモスの絵は個展のメインです。
秋なのでコスモスにしました。
ただし、色はフランス人の口紅のような、深紅のコスモスを描きました。
2007年10月に開催するスペイン人とのグループ展に出品するため描いたものです。
今回はせっかくなので参加作家4人で共通の題材で作ろうということになり、テーマは「スペイン」になりました。
僕はスペインと言うとまず、頭に浮かんだのが、花の「ヒマワリ」だったので、それを題材に選びました。
そしてヒマワリと言うとゴッホが浮かんだので、彼の描いたヒマワリを後ろに転写し、それを下地として、描きはじめました。
強い黄色を花びらに持つヒマワリはゴッホのために生まれた花のようで、まさに闘うという言葉があうような制作活動でした。疲労困憊で描き終えた時、傍らに挿してあったヒマワリはもう枯れていて、夏も終わろうとしていました。
ゴッホとコルドバの向日葵 no.1 72×72cm 混合技法/キャンバス
ゴッホとコルドバの向日葵 no.2 72×72cm 混合技法/キャンバス
2006年、マドリードの個展に出すために描いた作品です。
今まで4年程このシリーズを描いてきて、やりきれなかった事や、吹っ切れなかった
事を全てやってみました。スペインの場合、絵描きの仲間も多いですし、皆が良い意
味にも悪い意味にも、今までの美に対する概念から飛び出して、言いたい放題に言っ
てくれるので、実験的な作品を出すにはもってこいなのです。
果物のシリーズは今までやって来たものをよりシンプルに、そして感覚的に。
花のシリーズは全く別々の花を画面の上で組み合わせ花束とし、花瓶の代わりに白い
絵の具をボタっと垂らしてみました。
手はそのもの事体のもつ美しさをどれだけ画面に出せるかに集中し、またその動きを
蝶の孵化に重ね合わせて描きました。
リンゴ no.9(整列):Apple no.9
120x120cm 混合技法/キャンバス
洋梨 no.7(整列):Pear no.7
100x100cm 混合技法/キャンバス
洋梨 no.8(乱雑):Pear no.8
81x120cm 混合技法/キャンバス
flower.no21(花束):Flower no.21
72x72cm 混合技法/キャンバス
手 no.2(変化):Hand no.2
36x117cm 混合技法/キャンバス
この転写のシリーズを自分なりにもっと進化させたくて、いろいろな試みをしています。思い通りに良くなるものは希で、ほとんどがアイディアだけの面白さで終わってしまいます。白い画面の中に浮かぶ花が、まるでそこにあるように、もっと力強く描けるよう、今日も頭を痛めています。
実在し得ないリンゴNo.1
実在し得ないキュウリNo.2
2002年に入ってから、いろいろと悩むことがあり、その一つが、僕の静物画により実在感を与える事と、その絵に現代性を持たせるという事でした。
その実験結果が今回の静物画シリーズです。
この作品らは今(2002年)、マドリードで行われているグループ展に出している物です。前回よりもよりポップな感じを与えるかも知れません。
軽く感じるかも知れません。
でもその奥に、浅いかも知れませんが僕なりの思慮が隠されています。
余分な情報を取り除き、あくまで装飾的な空間を作り、一部分だけに今の僕に出来る限りのリアリズムを与えてみました。
そのコントラストがリアリティーを引き立てるのではないかという、僕の試みです。
そして連作という物がこの絵により面白みを与えると思っています。
パラグアジャ2003version1
65x45cm
今回(2003年)のパリの個展用に制作した果物のシリーズです。
今回はこの転写を使ったシリーズをパリで発表する予定です。
昨年から始めたこのスタイルを2年かけて僕なりにもっと追求してみました。
全ての絵においてそうなのですが、 努力が足りておらず、まだまだ勉強や研究の余地が沢山あって、自分の納得、完成にはほど遠いようです。
けれど、今出せる力をこの作品に出しきろうと思って描いています。
白い花2003version2
36 X 76 cm
同じ転写のシリーズで花のバージョンです。
古い映画のフィルムが映写機の熱で灼けて溶けるように、この絵の中の花も散って行きます。
透き通るような美しい白さを見させてくれるのはほんの一瞬で、僕の目の前で、キャンバスの向こうで、花は枯れていきました。
杏2003version3
33 X 55 cm
今月もパリの個展用の作品を載せます。
理想は余白の強さと美しさ、そして自分が表したいものだけを一つ表す、という清さなのですが、ただ一つのものだけで画面を保たせることはとても難しく、この絵を描くには抽象絵画、日本画といろい ろな勉強が今まで以上に必要だなと強く感じています。