タイトル:Peque?o pueblo Vasco バスクの小さな村
サイズ:19 x 27 cm

 

日本はゴールデンウィーク中ですね。
こちらスペインには日本の春休みのような休みがなく、代わりにセマナサンタというキリスト教の聖週間(10連休)が3月末から4月のどのかの週であります。
そこがスペイン人にとっての春休みみたいなもので、今年は4月半にその週があたり、私たち家族は北スペインへ向けて車でスケッチ旅行に行ってきました。

グルメで有名なバスク地方の中で、グッゲンハイム美術館があるビルバオという街やその周辺の村々、海岸沿いの景色なんかを取材してきました。
行きすがらワインで有名なリオハ地方などでもワインの蔵元も訪れたり、絵のスケッチをしながら北上しました。

4月半ばの北スペインは地面の緑がとても若々しく綺麗で、道端にはアマポーラや野花が咲き、菜の花畑も遠くに見え、取材旅行としても、とても実りある旅になりました。

道中、先日5月4日に放送されました「徹子の部屋」のスタッフさんからお願いされて、私の息子からおじいちゃんおばあちゃんへ(私の父母へ)のビデオレターを携帯で撮影したりもしました。

スペインの我が家では、昔は私を中心に日常のスケジュールが決まっていましたが、最近では息子の学校やサッカーの試合予定が中心で、その合間を縫って家族の予定が決まるようになっています。
また私の人付き合いも、息子のサッカー仲間の親達との時間が俄然増えました。

私は社会性が乏しく、引きこもりなので、元々かなり限られた友人関係しか持っていないのですが、今では息子絡みのスペイン人の親たちとの付き合いも、どうにかこうにかこなしています。

親たちの中には、こんな変人の私と我慢強く付き合ってくれるとても気さくで優しいスペイン人もいて、そういう人とは家族ぐるみの付き合いもでき、今回のビルバオ旅行の目的の一つには、息子のチームメイトのご家族に、彼らのご実家であるビルバオで落ち合うということもありました。
そんな優しい彼らの案内で、バスク地方のいろいろな景色やグルメも味わいました。

そしてもう一つ(息子のチームメイトに会うことと、絵の取材以外で)あった大きなイベントがビルバオの隣街(セスタオ)のサッカー選手として活躍されている丹羽大輝選手のご家族と会うことです。もちろん試合も観てきました!!

今回でお会いするのが2度目の丹羽さんですが、試合後にゆっくりと食事とお話もでき、素晴らしい人柄に触れることができ、とても有意義な時間でした。
丹羽さんのされたお話には、選手としてだけではなく、サッカーというツールを使ったスペインと日本との交流や、もっと先を見据えた考えがあり、聞いている私もうなづくことが多い夜でした。

また彼にも、うちの息子と同い年のサッカーがめちゃくちゃ上手な息子さんがいらっしゃり、息子たちはサッカー少年同士で大親友になりました。
息子は初めて、スペインで同じ目標を持った日本語で話せる子供と会ったようでとても喜んでいました。
そして何より、息子はプロで活躍する丹羽さんの生のお話が聞けて、とても勉強になったようでした。

私たちがスペインに住んでいるがために息子は、日本を離れスペインで精進されている日本人サッカー選手の方々と会わせて頂く機会が何度かあります。
その都度、彼のサッカーへのモチベーションはグッと上がります。
日本ではなかなかお会いできないような方々とお会い出来ている訳ですから、私たちは幸せですし、サッカー少年の息子にとってはとても良い経験になっています。

そんな息子を見ていて、私の幼い頃を思い返すと、私も両親の交友関係のお陰で、芸能界のトップのな方々とお会いしていた事を思い出します。
その頃は何も特別なことだなんて思ってはいませんでしたが、美空ひばりさんのお家でカラオケをさせて頂いたこと、そして森繁久彌さんには女性の口説きかたを、三木のり平さんからはテーブルマナーを、そして日野皓正さんからビリヤードを教えていただいたことなどは、今思い返すと物凄いことなのだなぁ!とつくづく思います。

きっとこの時の刺激や感情は今でも私の中に生きていて、それが私という人格を形成する大事な要素の一つになっているのでしょう。
だから息子にとっても、ここスペインで出会う人々から受け取る刺激が、息子の人格形成の何らかの要素になるのだと思います。

だんだんと歳をとってくると新しい出会いというものは減ってきますし、自分から新しい出逢いを求めるということは殆どなくなります。
それどころかこれからはお別れの方が増えてきます。
息子の関係で出会うチームメイトの親御さんと仕事での出会い以外では、私には殆ど新しい出会いというものはありません。
でもたまぁにある、こうして刺激を与えて下さる方との出逢いは、やはり良いものです!

今回はいろんなものを吸収できた旅でしたので、6月末の神戸大丸個展に向けて、それら得たものを私なりの光に変えて、絵の具をキャンバスに塗っていくつもりです。
早く安穏な世の中に戻りますように。

神津 善之介 拝

ギャラリー>新作 更新しました 2021/3/8