タイトル:Las Granadas 円熟の実
サイズ:42 x 61 cm

 

神戸、広島、池袋、福島と、慌ただしかった個展ツアーの夏が終わり、戻ってきたマドリードではもう秋風が吹き始めています。
マドリードの街ではシャツの襟を立て、コートを着た気の早い人まで見かけるようになりました。

今年は夏のバカンスは全く味わえませんでしたが、なぜか顔だけは真っ黒です。
7月8月に開催した4つの個展には沢山の方々にお運び頂きました。
本当に有り難く、嬉しい気持ちでいっぱいです。
心より御礼申し上げます。

そして私は今、マドリードのアトリエで新しい絵に取り掛かっています。
来年の年始に開催する予定の実験的な個展のための絵です。

今の私よりも若い頃の父が手書きした古い楽譜に絵を描くという試みです。
画家になって25年、この度初めて父とのコラボレーションというものにトライしてみようと思っているワケです。
楽譜と絵の混合作です。 個展のタイトルは「音画」です。
聞こえる音楽から映像が浮かんだり、絵を見て音が聞こえたり・・・
そんな聴覚と視覚の両方を刺激できるような絵を描いてみたいと思っております。

私にとって父は厳しい人でしたから、昔は父の楽譜に触ることなんて考えもしなかったので、その作品に手を加える事はなかなか手こずると思っていたのですが、最初に私が父に対して抱いた罪悪感を乗り越えたら、アイディアが沢山湧いてきて、描いていてとても楽しいです。
皆様、どうか来年の1月11日を楽しみに待っていてください!!

その時の個展で「音画」と一緒に展示するつもりの絵で「落書きシリーズ」というのがあります。
コロナ禍になってから描き始めたシリーズです。

この表紙の絵もその落書きシリーズの一つで、「円熟の実」というタイトルです。
絵の中にはスペインの諺みたいなものを書いていて、「生きるために食え、食うために生きるな!」という言葉と、「たとえ醜いものも、そのものの本質を知ることで、美しく見えてくる」という言葉が絵の下地に書いてあります。

これらは上の「音画」とは違って、言葉が持つ力と絵の持つ力を合わせてみたいという気持ちから始めたシリーズです。

今、帝国ホテルの地下アーケードにある絵画堂というギャラリーで、その「落書きシリーズ」が展示されています。
この展示は10月18日まで展示しております。
もし、お近くにお立ち寄りの際には、ぜひ覗いてみてください。
絵画堂のwebアドレスです。
http://kaigado.co.jp/exhibition/神津善之介-展/

東京も段々と秋になり、散歩もしやすくなりますね。
散歩がてらにちょっと日比谷の地下にある落書きも覗いてみて下さい。
もしご覧になって頂けましたら、ご感想なども送って下さいませ!
それでは楽しいお散歩を!!

神津 善之介 拝

ギャラリー>新作 更新しました 2021/3/8