もうあと2週間で個展が始まります。
母のことがあり、年始に帰国してからの1ヶ月半があっという間に過ぎました。
多くの人が仕事を拠り所として自分を保つように、私も絵を拠り所としてそれに集中していたら、時間が一瞬で過ぎていきました。
絵を描いているときは本当に頭の中が空っぽになります。
楽しいことも悲しいことも不思議なくらいに忘れ、ただただフラットになれるのです。まるで誰かに描かされているみたいに。
ただ、これは出力中の時(絵を描いている時)のことで、その前の段階で色々と描くテーマや構図やなんかを考えてる時は色々な事が頭によぎるのですが、実際に描き始めると無になるのです。
その無の時間が長ければ長いほど、現実世界に戻った時は、周りの世界が一瞬で過ぎていったように思えるので、この1ヶ月半は殆どを出力の時間として過ごしてきたのだと思います。
会場である松屋銀座さんが、昨年の企画段階中から決めてくれ、僕のためのに今回は割と大きな会場を用意してくれたので、それを埋めるために、自分が気に入っている過去の作品も出品しますが、それでも三分の二くらいは新しく描いた絵たちうぃ飾るので(しかも超集中状態で描いたものなので)、是非ご高覧下さいましたら幸いです。
この度の個展のテーマは、私があの日に見た光の色、胸に焼き付いた色の記憶です。
個展の案内状の文章にも書きましたが、ふっと訪れる悲しみは、その先にある喜びや希望のために、必要なものなのかもしれない、とつくづく思います。
それは、絵を描くときに、明るい光を描くために、まずその周りに暗い影を描くように。
そして暗い夜の後の朝陽が特に輝いて見えるのと似ているように・・・。
亡き母はいつも私の個展で絵を観ることを楽しみにしていてくれたので、母不在のこの度の個展は少し寂しい気がしますが、多分どこか近くで観てくれていることでしょう。
では会場で皆様にお会いできますことを心より楽しみにしております。
神津善之介 拝
*ギャラリー>新作 更新しました 2024/02/19