タイトル:羊たちも、沈黙
サイズ: 130 x 162 cm

 

最後まで絵の仕上げに追われていたら、あっという間に時は過ぎ、今日はとうとう飾り付けの日です。
明日から私の絵画展が始まります。

今回の個展のテーマは「色の記憶」です。

私は絵を描く時、本当の景色を自分の記憶の色で染めてなおしてしまう癖があるようです。
自分の中に残った、その景色を見たときの想いや感情がそうさせるのだと思います。
あの空を一人で見た時。あの水面を誰かと見た時。
その時に抱いた想いだけはずっと忠実に覚えていて、それがフィルターのように、だんだんと現実の景色を染めてゆくのだと思います。
だから、私の描く景色は、現実と記憶がないまぜになり、それは色となってその絵の奥にある想いを語っているのかもしれません。
そんなことを、是非皆様の頭の隅に入れて頂きながらご高覧くださいましたら幸いです。

そして、今回はわりと大きな会場なので、今日これからする飾り付けも、きっと楽しいことでしょう。
飾り付けの前から、私には今回のために一つだけアイディアがあります。

晩年の母に、私の画集を一冊預け、私がスペインにいる間、たまに気が向いたら、私の絵を見て浮かんだ詩を書いてくれと頼んでいました。
それが晩年の母には面倒だったのか、もしくは私の絵ではイメージが湧かなかったのか・・・、そんなに沢山は出来上がらなかったのですが、それでも少しだけ母は詩を残してくれました。
あまり知られていないかも知れませんが、実は母は若い頃から結構沢山の詩を残しています。
だから私は、そんな母に私の絵を見て、なにか詩を書いて欲しかったのです。

今回は、その中でも、本当の最後の方に書いてくれた詩を、二つほど会場に飾ろうと思っています。
ぜひその詩を読みながら、私の絵を見てください。

久しぶりに皆様とお会い出来ますことを心より楽しみにしております。
まだまだ寒い日が続いていますが、春を探しにどうぞ私の個展会場に遊びにいらしてください。
上の羊たちも一緒にお迎え致しますので・・・!

神津善之介 拝

 

ギャラリー>新作 更新しました 2024/02/19