スペインというといつも情熱的な強い太陽に照らされた国のように思われがちですが、
そんな季節は一年の中でも5分の2程度です。あとは思った以上に長い冬が続きます。
それでもスペイン人は長い冬を堪え、光や生命や希望に満ち溢れる春や夏を心待ちにします。
今回私が描いた季節も殆どが春から夏にかけての光や緑が眩しい時期のものです。
私にとって、スペインを描くならばやはりこの季節で描きたいというものがありました。
5月のコルドバ(アンダルシアの街)にある宮殿の中庭(パティオ)で、
遊びの合間に室内を覗き見している息子と木漏れ日も、
花香る午後にその舞い散る花を見上げる猫も、
陽が陰り室内の灯りが点り始め、ギターの音が鳴りはめる紫陽花が咲くパティオも、
息子と小川で笹舟競争をした、光と花が咲き乱れるガリシアの夏の輝きも、
サンティアゴ デ コンポステーラの古い街並の壁にひっそりと咲く薄紫色の小花も、
ショパンとジョル ジュサンドが暮らしたバルでモッサ村の修道院の中庭(パティオ)に咲く可憐な花や魚も、
みな、私にとっては煌めく生命の象徴であり、愛するものたちです。
タイトル:santiago de compostela ひっそりと暮らす君
サイズ :22×24cm