サイズ:60x60cm
1月の終わりにマドリードに戻ってきて、あっという間に過ぎた4ヶ月間でした。
ご無沙汰してしまい、誠にすみません。
皆様はお元気ですか?
気がつけば、マドリードはもうほぼ夏の気配です。
スペインには日本のようなはっきりとした四季がなく、いきなり冬から夏に変わり、また突然冬になります。
そして何気にスペインの冬は長いです。
だからスペイン人は、突然に訪れる春と夏が混ざったような季節の到来に、心を躍らせ酔いしれます。
短い夏を精一杯謳歌しようとするのです。
歳を取るとともに私は時の経過スピードが早くなりました。
最近では新しい人との出会いよりも、お世話になった方々とのお別れの方が多くなりました。
この一、二年は私の大好きな人たちがこの世を去り、私にとっては悲しく厳しい年でした。
だからこそなのか、私自身が絵の中に今まで以上に光を描くことで、自分自身を勇気付けようとしているのかも知れません。
今日の表紙の絵は、夏の朝霧の中でも見える灯台の灯りです。
まさに今の心境を絵にしています。
そんな事もあり、益々絵に没頭しておりましたら、4ヶ月が過ぎ絵の締め切りが近くなっていました。
もうすぐ個展が始まるので私は帰国します。
6月21日には新宿伊勢丹にて私の個展が開催されます。
そこではスペインの夏の風景を展示致します。
昨年の夏に、北スペインへ行き、描き始めた絵たちです。
絵のテーマは夏でも、実際は長い冬にアトリエの中で描いた絵たちです。
私にとってこれらの絵は自分にとっての心の拠り所であり、希望であり、憧憬なのです。
スペイン人が春や夏を待ち侘び、そして過ぎた夏を懐かしむように、私は絵の中に春や夏の日差しを探し求めて描きました。
それが今の私にできる数少ないことだったからです。
この度の伊勢丹での個展で表現するものは、日本の夏よりも一足早い夏です。
皆さまに、この個展でスペインの夏の喜びだけではなく、微かな切なさも感じていただけたらと願っております。
皆様にお会いできることを心より楽しみにしております。
神津 善之介 拝
*ギャラリー>新作 更新しました 2022/12/26