暗い穴蔵の中で、光を求めて絵を描いていると、
まるで世の中から隔離されたようで、
時間経過も、世の中の動きもほとんど把握できないのですが、
そんな状況の私にも、驚きと悲しみとともに、
バルセロナでのテロのニュースは伝わってきました。この度の事件で命を落とされた方々の御冥福と共に、
怪我を負われた方々の一日でも早いご回復を、
心よりお祈り致しております。
ゴヤがナポレオンからのスペイン襲撃を受けて描いた絵もそうですし、
ピカソのゲルニカだって、絵描きはいつだって暴力と戦ってきました。
私もその端くれとして、怒りで筆を持つ手に力が入ります。
でも私は怒りを絵にするのではなく、祈りを絵にしたいと思っております。
絵描きは、日々怠惰で甘美な空想の中で生きているくせに、
暴力という支配には、誰よりも強い意思で反旗を振る生き物です。
馬鹿な私には政治や経済は分かりませんから、
今の世の中がどこに向かっているのか?何を求めているのか?は見当もつきません。
ただ、自分が幼かった頃よりも今の子供達の方が、
未来に明るい希望を持ち辛くなっていることに悲しくなります。
その未来をどうやって生きていくか、どういう心を育てれば生きていけるのかを
絵描きとして、親として、悩み、自問し続ける日々です。
私は光を求めて絵を描いています。
でも、誰かを救う為に光を描いている訳ではなく、
私自身が救われる為に光を求めて絵を描いているのです。
でも、いつか、いつの日か、私の絵が誰かの心に光を与えられたなら、
それはきっともの凄く幸せなことでしょう。
絵描き冥利に尽きるでしょう。
今日の怒りを一つの原動力として、キャンバスに光りと祈りを塗りこみます。
神津 善之介 拝
*ギャラリー>新作 更新しました 2016/11/18