大変ご無沙汰しております。
随分と間が空いてしまい、申し訳ありません。
皆様はお元気ですか?
私達はここマドリードで元気にやっております。
2ヶ月以上も皆さまへ向けて音沙汰なく過ごしてしまいました。
その間ずっと絵とは向き合ってていたのですが、言葉を紡ぐことができませんでした。
私にとって絵とは、仕事として以上に、精神の解放や、現実逃避の手段でもあるので、食事で箸を持つように絵筆も握るのですが、文章を書くためにキーボードへ向かうことにはどうも気後れしておりました。
コロナウイルスは収束しそうになるとまた新しい変異株となって戻ってくるし、ロシアはウクライナを攻撃し始めるし・・・
安穏な世とはかけ離れた今の世界を見ていると、日々の私自身の失敗や、息子の成長報告や、嫁の悪口をこのページで書いてる場合ではないのでは?!と、気負ってしまっていました。
画家が絵の中から発するメッセージは、絵と共振できた人の深い部分まで届く代わりに、言葉ほど具体的にではなく、全ての鑑賞者に容易に伝わるものでもないのです。
だから私は無邪気に自己満足のように絵を描けるのです。
でも言葉は少し違います。
だからこんな世の中で何を発言しようかと悩んでおりました。
しかし、もともと私が絵の中で求め、そして描き表わそうとしている光は、大義ある光という訳ではないですし、日々の生活の中で目にする、どうってことないささやかな光です。
マドリードやスペインのどこか道端の風景でもあり、またそれは日本の中にもあるような風景です。
そんな絵を描く人間のページですから、あまり気負いせず、独り言のように日々感じた事を書いていくことにします。
ということでまた少しずつページの更新を再開していきます。
どうか、またお付き合いくださいませ。
今日の表紙の絵は、バルセロナ郊外にあるモンセラートという、山の修道院から見た夏の朝です。
A4ほどの小さな絵のなので気がつかないかもしれませんが、崖の端には十字架がたっています。
ピカソが描いたゲルニカのような戦争に対する純然たる怒りを絵にすることは私にはできないので、小さくても強い「平和を願う気持ち」を絵に込めました。
早く安穏な世の中に戻りますように。
神津 善之介 拝
*ギャラリー>新作 更新しました 2021/3/8