段々と春の光になってきて散歩が楽しい季節になってま...
ぁぁあーア、ア、アトリエから出られない(号泣)。
(時間は2ヵ月程遡る。)
日本での個展が無事に終了でき、気分よくスペインに戻った私が
「さぁ年末はずーっと睡眠不足で絵を描いていたから、これから寝だめだ!」
と甘い考えを浮かべていたら、
「個展までヨシはアトリエに籠りっきりで、ずーっとウノと二人、母子家庭だったんだから、
これからはちゃんと3人家族でよろしくお願いしまぁす!」と嫁に嫌みを言われると同時に、
「はい!散歩ぉー!」とウノと二人で外に放り出さた。
渋々「どうする?アイスクリームとか食べる?」「えー寒いよぉ!」
「じゃぁホットチョコは?」「えー甘いの好きじゃないよぉ!」と言うような親子の会話をしていると、
友人の絵描きのホルヘから電話があり、
「あと、2ヵ月だね。再来週には3、4枚の絵のデータを欲しいって先方が言ってるけど大丈夫?」と。
「うん?なんのこと?」と私。「だ・か・ら!例の絵の展示だっつーの」とホルヘ。
なんだ?ホルヘ君の言ってる内容が私の記憶の中に全く残って無い。
キレ気味のホルヘにもう一度説明してもらい、やっとそこで思い出したような、思い出したくないような。
どうやら年末から言われていた事で、ホルヘから話しを貰った時に私は「はいよ!」と答えたらしい。
個展前で頭が一杯一杯の私は、問題が起きないように、嫁さんに言われた事には常に「はい!」で
答えるようにしている。その条件反射でホルヘにも同じように答えたのだろう。
要は、ホルヘの絵のお客さんに弁護士さんが居て、その人の事務所のリフォームがあり、
かなり大きなその事務所に飾る絵を何枚か欲しいらしく、ついでに「文化事業も兼ね、
事務所の中に絵を展示してクライアントにギャラリーのような空間を感じてもらう」
というコンセプトのもと2、3ヵ月に一度絵をかけ代えるようにしたいらしい。
そこで、4月の事務所新装お披露目パーティー兼個展をホルヘが担当することになり、
絵の制作が遅く、期日までにどうしても枚数が足りない困ったホルヘが、
彼にいつもグラスワインをおごる寛大で心優しい私を誘ってくれたと言う訳だ。
先方も私の絵の写真を気に入ってくれ、ホルヘと私で二人展を開くと言う運びになった。
めでたし。めでたし。...って、飾れる絵なんか残ってないぞ!・・・ひぃー(泣)!
そんなことを2月の頭に突如思い出さされ、私はスペインに戻って早々に絵の制作に入った。
なのでまた嫁さんにはウノのことを全て任せる事となり、
嫁さんの目がまた急角度につり上がったのは言うまでもない。
あの人の目、そのうち縦になるんじゃないのか!?と時々思う。
で、この二人展は今月(4月)16日から始まる。
私もホルヘも準備期間的に全て新作と言う訳にもいかず、新旧織り交ぜて展示する。
ただし会場が広いので、日本ではなかなか展示できない2m×2mサイズの絵も展示する予定だ。
今回私が描いた新作は後日またページ上でお見せする予定だが、
もし、マドリードのVelazquez通りのお近くにお越しになるご予定の方はメールでご連絡頂ければ、
ホルヘの絵も載っているPDFファイルの案内状を返信させて頂くので、ご連絡頂きたい。
というわけで、私は目を涙で潤ませ、季節の変化も感じぬまま、アトリエに籠っている。
「うわぁー、時間がない!」と叫ぶ私を横目で見て、「はぁーあ」と深いため息をつきながら、
「16日が過ぎたら時間が出来るんじゃない?(少しはウノの面倒もみられるんじゃないか!の意)」
と言う嫁に対し、
「実は6月に倉敷で個展があるから、すぐまたその制作に入るんだよ!」
とは怖くてまだ言えていない。
神津善之介 拝
*ギャラリー>新作 更新しました 2015/1/14