アルハンブラの睡蓮(光と影)
タイトル:アルハンブラの睡蓮(光と影)
週(3月23日から)の個展に向けて日本に戻ってきました。
スペインにもまだ寒さは残っていましたが、
日本の寒さには少し驚かされました。
ここ最近は私の個展中に雪が降る日も何度かあり、
この個展にはどうか雪が降らないように、ただただ祈っています。

この数年(いや過去10年くらい)はたいてい個展の前々日まで筆を握り、
納得するまで気に入らない所を修正していました。
ギリギリの時間に絵を引き取りにくる額屋を待たせてまで絵を描いていました。
そして最悪の場合、個展中に納得できない絵を見つけてしまうと、
画廊の裏に絵を持っていき、持参した油絵セットで手直ししていました。

そんな場合は個展会場の壁に一カ所ぽっかりと隙間が空いていて、
私が修正し終わった絵を持って改めて壁に飾り付けに戻ると、
会場で絵を見て下さっていたお客さん達が、
焼き上がるパンを待っていたかのように、
「わー来たわよぉ!」と拍手で迎えてくれたこともありました。
酷い。全く私は何をやっているのでしょうか、至極情けないです。

しかし、どうしたわけか今回は何年ぶりかで絵が全て完成しているのです。
なので早くも絵を額屋に渡すことができました。
と言うことは絵を描く必要がないの(というか物理的に描けない状況)で、
なんと個展までは久しぶりの休暇です。

今回は嫁と息子も一緒に帰国しているので「何をしようか!」と、
個展までの1週間を家族3人でいろいろと楽しく思案しております。

さて、個展のDMにも記載したので重複してしまいますが、
今回の個展に向けた私の気持ちをもう一度書かせて頂きます。

(個展に向けたご挨拶)

私は絵を描くとき、目の前の現象を五感で受け止め、
心の網膜に映った表象をそのまま描きたいと思っています。

だからその時々の私の心情によって目の前の世界は様々な色や構図に変化し、
その表現方法も変わってきます。

たぶん私にとって絵とは、景色も静物も肖像もすべて、
日々の心情を描き残す「Cuaderno de Bitácora(航海日誌)」のような
ものなのかも知れません。

どうすればそれを作品という形に仕上げることができるのか。
そのために新しい試みや技巧を模索する日々です。

ご多忙の折とは存じますが、私の心象風景を投影した日記をご覧頂けたら幸いです。 

会場で皆様のお越しを心よりお待ちしております。

神津善之介 拝

ギャラリー>新作 更新しました 2016/2/14