dresden 星を見上げて

つもは陽の光の美しさを描きたいと思う私ですが、
一年に一度この季節だけは人がともす灯りに心を奪われます。私がクリスマスを好きな理由。
それは美しく彩られた街や、その雰囲気の中で嬉しそうに浮き足立つ人々を見る事が好きだから。

そしてもう一つ。
あたりまえのように人に愛や喜びを贈ったり、贈られたりする時の幸せで魔術的な感覚と、
その光景を輪の外から見る時にふと感じる自分の孤独。

ある意味、クリスマスは一年で一番思いのコントラストが激しい日だと思うのです。
その不思議な一日を輪の少し外から傍観する事が私は好きなのです。

25年前、初めてスペイン、マヨルカ島で暮らし始めた時、
一人で過ごす本場のクリスマスで、孤独の中にある寂しさよりも、
孤独というものの中に、不思議な安堵感があると知り、
それを味わった時からの私とクリスマスとの向き合い方かもしれません。

家族はもちろん大切で愛しています。
ただ、たとえ家族と幸せに過ごしていても
絵描きは常に心の何処かに孤独を抱えています。
その孤独が私に絵を描かせるのです。

皆様から私の絵を「優しい絵ですね」とか「穏やかで暖かな絵ですね」と、
評して頂く事もありますが、実はその絵の下には孤独が塗り込められているのです。
影が光を引き立てるように、孤独が希望や愛を支えているのです。

今年のクリスマスキャロルは「Carpenters」の「Merry Christmas Darling」です。

皆様が今年のクリスマスを安らかにおすごし下さる事を祈っております。

Merry Christmas !!
Feliz Navidad !!

神津善之介 拝

ギャラリー>新作 更新しました 2016/11/18