タイトル:夕涼み

 

ご無沙汰しております。皆さんはお元気ですか?
スペインも暑いですが、日本は暑さだけではなく、湿度もありますから大変だと思います。

コロナの感染者数については、日本も増えているとネットニュースで見ますが、
こちらスペインは多い日は1日で7000人以上の新規感染者が出ています。

私も気になって、先日マドリードの病院で抗体検査とPCR検査を受けました。
どちらも結果は陰性でした。
抗体検査の方では抗体を持っているかな?と思ったのですが、結果はどちらも陰性でした。

今年の我が家の夏休みはとても静かなものです。
ほとんどの時間を家で過ごし、公園でのサッカー以外ではNetflixやAmazon prime三昧で過ごしています。
こんな時代の中で育っていく子供たちはどんな大人になっていくんでしょう?

私の個展のスケジュールも今までよりも緩やかなので、割と余裕を持って絵に向かうことが出来ています。
ただ、ここ半年取り組んでいる実験的な絵の方がまだ納得のいくレベルに辿り着けていないので、なかなか皆様にお見せできる新しい絵というものが描けていません。
この突然にもたらされた時間で、なにか新しいものを掴みたいと思ったのですが、そう簡単にはいかないようです。

新しい絵に行き詰まると、天気も良いので外に出て、いつものスタイルの風景画を描きます。
私には趣味がないので、絵が仕事であって、趣味でもあるのです。
一つのスタイルの絵が行き詰まると、別のスタイルの絵で気分転換します。

私は常日頃、絵には遊び感覚というものがとても大事だと思っています。
絵を売って生きるのが私の生業ですから、誤解を受けるといけないのですが、「仕事の絵」もしくは「売るための絵」という響きが私は好きじゃありません。
勝手な言い分なのでしょうが、絵とは衝動的に描いてしまうもので、それをたまたま気に入って下さる方がいたら買って頂くというのが、私の考える絵描きという生業の図式であって、買って頂くために絵を描くと言うのは、どうも少し本筋と違うように感じるのです。

少し矛盾した話になりますが、個展では絵を売る訳ですから、もちろん絵が売れなれば生きていけないのですが、売ることが絵を描く一番の理由になってしまってはいけないと思うのです。
そうなると「プロの画家」という響きも、私にとってはまた何だかおかしな職業に聞こえてきます。

それと、「真面目」と「真剣」。
私はこの二つの言葉の意味合いは全く別ものだと思っています。
絵に向かって真面目に取り組んでいても真剣ではない時もある。
逆に、ふざけたような、遊んでいるような絵を真剣に描けたら、それこそ最高なのだろうと思います。

売れようと売れまいと、自分が描きたいから描いた。
描いてて苦しんだとしても、結果、楽しんでた!と言うのが絵描きにとっての理想像だと思っています。

鼻血が出るくらいもっと真剣に、絵で遊ばないといけないのでしょう。
そう言う意味で言えば、遊びが大好きなスペイン人の中に、絵の天才が多いというのも頷ける話です。
真剣に遊ぶ。
なんだか難しいものですね・・・。

さて、次は何を描こうかな。

神津 善之介 拝

ギャラリー>新作 更新しました 2020/6/12