タイトル:The Sky of Favaritx 迎える灯り
サイズ:60 x 60 cm

 

大変長いことご無沙汰しております。
皆様はお元気でいらっしゃいますか?
私たち家族はみな元気でやっております。

私がとてもズボラな人間だということは、すでに皆様もよくご存知でしょうが、3月末の個展から随分と時間が空いてしまいました。

これだけ長い時間、ホームページを更新せずに過ごしたのは、ほぼ初めてに近い事だと思います。

応援して下さっている皆様に、ご心配をおかけしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。

5ヶ月以上も近況報告が出来ていなかったのですが、特に大きな問題があった訳ではなく、子育てと絵の制作、そして夏休みに集中していたら、あっという間に時間が経っていたのです。

その間に、私はファイザー社製ワクチンを2回接種し、その後、新型コロナではない夏風邪を家族みんなでこじらせて大変なこともありましたが、(一応、家族でPCR検査を受けましたが陰性でした。)暑かった夏も終わりを迎え、今はいたって元気に平穏な日々を過ごしております。

個展が終りスペインに戻った4月5月は、新しく描き始めた落書きシリーズに没頭し、アトリエに籠りっきりになっていました。
6月7月、今度は空のシリーズが描きたくなり、スペインの西側をずっと旅しながら、コウノトリのいる空をスケッチしていました。
そうこうしていたら、あっという間でした。

時間が過ぎるのは矢のごとしでしたが、私が絵を描くペースの方は、コロナ以前よりも、今の方がゆったりとしていて、一枚の絵とじっくりと向き合うようになりました。

個展で絵を観て下さった方々に、私の絵の筆数が前よりも増えたんではないかと、言って頂いたりしましたが、私自身としては、絵の中の密度にコントラストがついたというか、緩急がつくようになってきたのだと思っています。
絵を眺める時間は増えましたが、逆に絵の中の要らない説明を省くようになったつもりです。

もともと私は上手に写実絵画を描ける人間ではないので、描く世界の物質的な説明よりも、その空間に漂う目に見えない空気、もしくは湿度や匂いみたいなものを描きたいと思っています。

極端なことを言ってしまえば、空気(匂いや湿度)を感じない具象絵画を描くくらいならば、たとえ抽象画であっても空気を感じさせられる絵を描きたいと思うのです。

まぁ、これは理想論の話しでして、実際としてはマドリードの師匠津江さんには、「ヨシの絵は要らぬ説明が多いんだよっ!!」といつも叱られています・・・笑

話しが少しそれますが、7月のスケッチ旅行の際、出会った版画家(イギリス国籍のパレスチナ人)から教えてもらったイギリスの古い格言で、今の私に共感できるものがありました。

「若い画家は夜を描く時に夜というもの説明しようとする。けれど、熟練の画家は説明などせず、夜を感じさせようとする。」
なんとしびれるフレーズでしょう!!

まだまだそのようなレベルにほど遠い私ですが、いつか叶う事ならば、観た人に何かを感じさせられるような絵を描きたいです。

また、話は変わりまして、この夏40度近い陽射しのマドリードにあるソル広場で、絵を描くアントニオ ロペス氏に遭遇しました。
彼はまさに生ける伝説の画家でして、スペインの至宝です。
私はこのロペス師匠というモノは、きっと見える人にしか見えない、伝説上の妖精か何かだろうと思っていました。
ですから、まさか、ご本人に会えるとは!
そのうえ、御歳85歳でまだキャンバスを立て、現場で描いていらっしゃるとは思いもよらなかったので、ロペス氏が実在する街の風景には大きな感動を覚えました。
挨拶以外、なにも言葉は交わしませんでしたが、2時間程眺めたその寡黙な背中から、絵描きとしての姿勢を沢山学んだ気がします。

今年はとても実り多き夏でした。

さぁ、これからは、夏に得たものを少しずつ吐き出す時間です。
次回皆様とお会い出来るその時、少しでも絵に何か変化がでてくるように、今は白いキャンバスを睨み続けています。

現在、この新型コロナの状況が、1ヶ月先のことすら良く見通せない感じですが、もし私が帰国することができましたら、11月10日からの福岡三越の個展で、是非皆様とお会いしたいです。
その日を心から楽しみにして絵に励みます。

あ!・・・・ついでの話しで、何ですが、うちに家族が増えました。
生後4ヶ月の雄ネコです。
名前は「カイ」です。息子が名付けました。
マドリードには海がないので、海色の目をした子猫をカイと名付けました。

そして、もう一つお知らせです。
もうお気づきかも知れませんが、この私のホームページが新しくなりました!
もう20年以上続いたこのページが、20年経ってスマホ用の新しいデザインになりました!!

まぁ20年続いたと言っても、3ヶ月に一度くらいの更新ペースですが・・・汗、詫。

20年以上、このページをずっと同じ方に管理して頂いています。
その方は実はめちゃめちゃ凄い人なのですが、ここでは何方かは申し上げません。
ただその方は、他では凄い仕事をされているのに、破格の安さの作業代で、こんな適当でいい加減な私にずっと付き合って下さっています。

これは偏に、彼女の人としての器がとても大きいことと、また我慢強いこと、そして少し変わってる人なんだろうなぁ・・・と、大きな感謝とともに私は密かに思っています

そして、何より、私のページを長きに渡り、読んで下さっている慈悲深い皆様へ、心より、厚く御礼を申し上げます。
いつもありがとうございます。

神津 善之介 拝

ギャラリー>新作 更新しました 2021/3/8