タイトル:コスモスの壁

 

10月ももう終りそうで、少しずつ秋が深まってきましたね!
マドリード郊外の田舎道ではコスモスが咲いています。
ただ、このスペインには秋の期間がほとんどなくて、いきなり冬がくるため、なんだかちょっと寂しい感じがします。

マドリードでは今、イタリアの画家モランディの個展を開催しています。
私の大好きな画家なので、是非日本へ帰る前に観たかったのですが、それまでに時間がないので、またスペインに戻ってから見るつもりです。

さて、私は福岡での個展へ向け、もうすぐ日本へ帰国します。
ということは絵の最後の追い込みで大忙しということです。

海外からの帰国者には2週間の自粛隔離が義務づけられておりますから、個展開催よりも2週間は早く帰国しないといけません。
その隔離期間中はもちろん外には出られないうえ、私が借りている部屋は小さいため、絵も描けず、まさに軟禁状態です。
そんな環境ですから、きっともう少しは真面目に、このページの更新をすることでしょう。
とはいえ、このコロナで困っている人々はもっと沢山居ますから、私なんかがこんな程度で文句を言ってはいけませんね。

スペインという国に暮らしていると「仕事よりも何よりも家族との時間を大事にしろ!」と言われてしまうのですが、そんなスペインに居ても私はいろいろと父親業を大サボりしながら、絵に勤しんでおります。

「あーー!忙しいっ!!」を口癖にして、息子のサッカーの試合の送り迎えを妻に変わってもらったり、平日の練習への送迎も、私は送るだけ送って、迎えはチームメイトのお父さんに連れ帰って貰ったりと、随分と皆に借りを作りながら絵の時間を増やしていました。

でもたまに私がサッカーの練習終り迄残る日の夕方、高くなった空を見上げると、空の色と雲の表情がとても美しいことに感動し、こういう時間が実は大切なんだと気付かされます。

そして、夕陽とは、一日の終りを告げる悲しいものではなく、家族との時間の始まりを告げる優しいものだと改めて思うのです。

アトリエでは気持ちを焦らせないために古いジャズをかけながら、絵の仕上げとサイン入れ、そしてその梱包をしています。

そんなこんなでもう帰国です。
置いていく家族と子ネコに寂しさを感じ、金木犀の薫る秋の日本を楽しみにして。
さあ、センチメンタルジャーニーです。

神津 善之介 拝

ギャラリー>新作 更新しました 2021/3/8