2023年10月31日

日本に戻ってきました！！４ヶ月ぶりの日本です。
皆様はお元気ですか？
スペインは秋を通り越して冬の気候ですが、日本は秋晴れの陽気で気持ちの良い季節ですね！！

今回の滞在は11月1日から3日間池袋にあるリビエラ東京にて開催される「リビエラアートフェア2023」に参加するためと、
11月22日から27日まで福岡三越で開催される私の個展のための帰国です。

また沢山の方々とお会いできれば！！と強く願っております。

まずは最初に、リビエラアートフェアに出展する作品のお話をさせて頂きます。

上の二枚の絵がまさにその絵なのですが、同じ場所を描いています。
でもこの二つの絵は随分と違うように見えるはずです。
本当にある公園の、そこに実存する風景を油彩で描いた「秘密の花園」という絵と、
現場で見た風景を一度アトリエに持ち帰り、頭の中で再構築して描いた「Secret Garden Series」という絵、
この二つの違った技法で、マドリードの象徴の一つであるレティーロ公園内のバラ園を描いています。

その場に立ち、美しいという純粋たる気持ちで描いた風景が「秘密の花園」ならば、自分の頭の中に残った感情をろ過して、余分な色彩や情報を引き算して、組み立てなおし、主題となる薔薇だけを着彩したものが「Secret Garden Series」です。

この「Secret Garden Series」を描くきっかけとなったのは、古くからある日本の美意識が削ぎ落とす引き算の美だと、ある時私が気が付いたからです。

日本人は、屏風や白い襖に絵を描く時、木々の枝と鳥を描けば、後ろの空間には空があると皆感じ取ります。
でも西洋の人々は後ろの背景を青く塗らないと、背景が空なのだと思わないそうです。
元々の日本人には高いイマジネーション力があり、余計な説明をしなくて理解し合える能力があるのです。

でも今の日本には、商品や広告に言葉や説明が溢れかえっているように私は感じます。
例えば飲み物一つとってもその飲み物の素晴らしさが溢れんばかりに記載されています。
多分、そんなことを沢山書かなくても、本来の日本人はその飲み物の良さを読み取るはずですし、飲めば分かるはずです。

情報とは自分の実になれば、有益なものですが、それが過剰であればノイズになります。
なんだか今の日本はノイズに溢れているように私は感じてしまいます。
もっとシンプルに、そしてもっと日本人が持っている感性を信じるべきだと私は想うのです。
そんな想いも込めて「Secret Garden Series」を描いています。

会場にお立ち寄り頂き、どちらの秘密の花園がお好きか、どうかお聞かせ下さいませ。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

神津善之介　拝

＊ギャラリー＞新作　更新しました　2022/12/26