神津 善之介 公式サイト

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タイトル:王位継承の儀

 

少し間が空いてしまい、すみませんでした。
皆様はお元気ですか?
私たち家族はいたって元気です。

こちらスペインは再度、非常事態宣言が出されました。
特に感染者の多いマドリード市はまたまた都市封鎖です。
経済をとるか、感染者を減らすかの選択で、
スペイン政府は後者を選びました。

ただし前回の春の封鎖とは大きく違い、
今回の都市封鎖で、私たちは家から出られます。
息子の学校も通常どおりで、学級閉鎖の管理はクラスごとで区分され、
クラスに陽性者が出ないかぎり、息子は学校に通えます。
では、今回厳しく禁止されていることは何かと言うと、
私たちはマドリード市から外に出られないということです。
勿論、外からマドリードに入ることもできません。

11月末には神戸大丸で私の個展が控えているのですが、
今回も残念ながら私は帰国しないでおこうと考えています。

今のスペインからでは、私自身の日本への渡航が困難であるうえ、
感染者が急増中のマドリードから私が帰国することで、
神戸の皆様に及ぼすかもしれない感染の恐れやご心配、
それらをよく考えて出した結論です。

神戸の皆様にお会いできないのは誠に辛いのですが、
またここで、お籠もり生活の日々を続けなければなりません。

前回の都市封鎖では画材不足で痛い目にあったので、
今回はその時学んだことを活かし、
先週さっさと画材屋で絵の具を買いだめしました。

買い占めという行為はいけないのでしょうが、
このマドリードで絵の具の買いだめをする人がさほどいないのと、
画材屋にはまだまだ絵の具が沢山余っていて、
私が買ったところで、問題はほとんど無いと思っています。
そんな訳で、今月の家計は画材費で泣きそうな感じです・・・。

絵の具はマドリード中心部の画材屋で全て買えるのですが、
たまに、数年に一度、使っている色自体が生産中止になることがあります。
これには困り果てます。
同じような色でも、やはり同じではなく、
メーカを代えてもしっくりとこないのです。
そんな意味でも特殊な色は、あるうちに買いだめしておく必要があります。

そして、もう一つ。
私にとっての大きな問題は、
絵の具はマドリードでどうにかなりますが、
堅い毛の絵筆は日本製だと言うことです。
今、帰国できない中で、この筆たちがあとどれくらい保つかが心配です。

弘法筆を択ばずと言いますが、私にとって絵筆はとても大切で、
日本の名村大成堂というメーカーの筆が何よりも使いやすいのです。

昔は英ウィンサー&ニュートン社のゴールデンと言うメーカーを使っていましたが、
今はもうゴールデンは生産してなく、
他のウィンサー&ニュートン社の筆ではどうも描きにくいのです。
そこで、知り合ったのが、名村大成堂の豚毛の筆です。
これは本当に素晴らしいです。
絵を描くときのストロークが激しい私にとって、
毛の腰が強く、描き味が良いこの筆は手放せない逸品で、
この筆なしでの制作はかなり厳しいものがあります。

1月の個展で買いだめしたので、あと15本くらいは残っていますが、
かなり激しく使うので、毛の減りも速く、あと半年は保ちません。
それまでには絶対に手に入れなければ・・・。
ちなみに仕上げに使う柔らかい細筆はドイツのダビンチ社の筆を使っています。

いつもならば、画材を買いに行く散歩の道中で、
製作中の絵をどう進めていくか?や、
次の絵の構想などをいろいろと考えるのが好きなので、
大抵はあえて絵の具がなくなってから、画材屋に買いに行くのですが、
今の私のアトリエには買いためた各色絵の具のチューブが3本ずつはあります。

それを見て、ふと私の師匠だったリャド氏のアトリエを思い出します。
勿論、師匠の立派なアトリエと、
私のゴミだらけの小さなアトリエとでは随分と違うのですが・・・。
師匠のアトリエ奥のストック部屋には山程の絵の具が積まれていました。
多分3、40色くらいの絵の具が各色7、8本以上積まれていたと思います。

師匠が亡くなった時、奥さんに頼まれて、
余った絵の具を画材屋に買い取ってもらうことを手伝いました。
私たち弟子が奥さんから数色の絵の具を貰い受け、
あとは全て画材屋に買い取ってもらいましたが、
多分その時の買い取り額はかなりのものになった記憶があります。
その時の私は膨大な絵の具を常にストックしていた師匠に憧れを感じたものでした。
憧れるべきポイントはもっと他にあったのでしょうが・・・。

たまに、セピア色した思い出が無性に押し寄せてきます。
夏が終り、騒がしい息子は学校で不在ですし、
薄曇りの都市封鎖の街では、みんな暗い顔になっているからか、
少しおセンチな今日この頃の私です。

神津 善之介 拝

ギャラリー>新作 更新しました 2020/6/12

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