緑の中のこども
タイトル:緑の中の子供
サイズ:79×100cm
が付けば8月も終わろうとしている。
更新が随分と滞り、申し訳ない。

7月の終わりにスペインに戻ってから今までずっと、
絵の制作と同時進行で部屋の片付けや断捨離をして過ごしていた。
実は今月末に引っ越しをするのだ。
なので9月に愛媛である個展の絵を描く傍ら、
ほぼその片付け作業に追われていた。

8月まるまる一ヵ月を制作と引っ越しに使ってしまい、
夏休みっぽい事を全くしてやれなかったので息子には申し訳ないが、
その分日本で沢山遊んだから今年は許してもらおう。

スペインに23年も暮らしていると家に荷物がやたらと多い。
かるくゴミ屋敷化していた。
勿論、幾つも引っ越しをしたので、その都度処分はしているが、
それでもこの家にだって7年ほど暮らしたから、
部屋の中には思い出が詰まったものや
使わないのに捨てるのがもったいなくてずっと持っているもの、
まったくワケの分からないものなど、やたらと出てきた。

特に私のアトリエにワケの分からないものが多く存在する。
いつか使うであろうと思ってとっている絵の材料になりうる変なものたち。
でも探そうと思ってもどこにも売ってなさそうなものたち。
これを捨てるのになかなか勇気が要った。

そしてこの家に住んでから息子が生まれ、自分のもの以外にも荷物は増えた。
息子に「要るか要らないか」と聞くとすべて「要る」で答えるので、
どう考えても要らなそうな瓶の蓋とか、キャンバスの切れ端とか木片、
もう1,2年触っていないであろう何かの景品のストラップなどは、
息子が寝ている隙にそっと捨てたりした。
今は彼がそれらの事を思い出さないようにと祈るのみだ。

8月のマドリードも日中はなかなかの暑さで、
昼間は屋内で絵を描きながら、合間に引っ越し前の片付けをし、
夕方になってと一息ついて外に出る。
外は夏の終わりを知らせる涼しい風が吹いていてとても気持ちがよい。

バケーションでみな地方に出かけているため、
人も車もまばらで、ますます良い感じだ。
今夜は、捨てようか悩んだ段ボール箱の中から、
ビリージョエルのアルバムを出してきて、
「New York State of Mind」をかけている。
そろそろ夏が終わる。

神津善之介 拝

ギャラリー>新作 更新しました 2015/6/5